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さあ久々に快晴だ。
ただ快晴と言っても昼出かけるわけではない。夜みんな寝静まった後、街の光が消えてからひっそりと自分に出動要請をかけるのだ。
でなきゃそもそもどこからも要請などありはしない。
疲れた自分に鞭打って重い腰をあげる。
三脚をカバンに放り込む。一眼レフをチェック。ここ最近は雨だったせいで埃をかぶっている。
ブロアーでクリーニングし家の中でマニュアルフォーカスを試す。
完璧だ。
今まではカメラ頼りのオートフォーカスで月なんてものを撮影してきた。
しかしもはや僕のレベルは更に上がりマニュアルフォーカスまでできるようになった。
これでよくピンボケしてた月のクレーター達、更にはそこに住む宇宙人、ないしは住居たるものを撮影できてしまうかもしれない。
カメラという道具を使いこなす自信ができてきた僕は意気揚々とチャリにまたがった。
この日を待っていたのだ。
今日は月が高い。秋も深まっていくのを感じる。多くのカメラマン達は紅葉を撮り始めるのだろうか?
秋葉原では今週末もイベントがあり、コスプレイヤー達をなめるように撮影する人もいるだろう。
ただ僕は違う。
月をなめなめしにいくのだ。
ほとんど心理は変わらない事に自分で驚く。
皆さんは変態という言葉をご存知だろうか?
多くの人が知っていると答えるだろう。
ただ変態の定義を知っているだろうか?
変態とは子孫を残す目的でない事に性的興奮を覚える人の事だ。
こう言った視点で見てみると秋葉原の人間より僕の方が変態で完成度が高いことがお分かりいただけるだろう。
僕は確固たる変態であると言う自信を胸に今日もチャリを漕ぐ。
本当に風が気持ちいい。
こんなのが味わえるなら車ならオープンカーだなぁと思う。
ただまた余談だが僕にはオープンカーに苦い思い出がある。
僕がまだ若くてエネルギーに満ち溢れてた時の事だ。
僕は赤いオープンカーに乗っていた。助手席には勿論女性が乗っている。
当然ジェントルメンである僕は街中でも安全運転だ。標識を見、守り、制限速度も守る。
当然だ。
突っ走ってガードレールに突っ込んだりしたらそれこそ楽しいデートも台無しになる。
当時よく、まあ付き合っていたと言っても過言ではない関係の女性と食事を終えドライブを楽しんでいた。
やはりオープンカーは風が本当に気持ちいい。
2人の楽しいおしゃべり、気持ちのいい陽気、何もかもが輝かしい程うまくいっている。
緩やかなカーブ。クィーッと曲がったその時事件は起きた。
うげーっ!
脇道にある芝か草が飛んで目に入ってきたのだ。
目が見えなくなってパニック状態になった僕は縁石に乗り上げ車をぶつけた。
隣の女性は大丈夫だろうか。
一つ一つゆっくり確認していく。
僕に痛いところはない。
どうやら彼女も無事なようだ。
一安心だ。
ただびっくりした僕はその時のショックで言葉も出なかった。
とてつもないダメージを心におった僕はその後気分が切り替えられずにいた。
慰めてくれる彼女に抱きつき泣いてしまっていた。
小学2年の時のおばあちゃんとの話だ。
あのゴーカート事件以来僕には車の恐怖がしみついている。
そんな事を思い出しているとまもなく湖だ。今日も爽快に走ってきた。しかし、いややはりなのか雲がかかってうまく撮れやしないのだ。
雲にかかれば技術など意味などなさないのだ。これもまた楽しい事である。
Kazunori O
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